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21年振りの授業


※職位や内容は投稿時のものです。

2022年1月31日更新

 38年間の県立高校教員生活を終え、令和3年4月よりスポーツ科学部にお世話になっています。教員生活の最後は、母校の校長を務めることができ、「在校生すべてが後輩」という思いが熱く、「入学式や卒業式での式辞がくどくなってしまったな」と反省しています。ただ、感慨深いことは確かでした。 

 私が高校の保健体育教員を志したのは、高校時代のバスケットボール部の体験によるものです。静岡県で優勝するなどの成果を収め、勝利を目指すために戦術を工夫したり、練習を組み立てたりすることがとても面白く、次世代の人(生徒)たちにその面白さを伝えていきたいと思ったからです(先般行われた本学入試の面接の際にも、そう語る受験生が数多くいました)。念願叶い、高校の保健体育教員になりましたが、「保健」や「体育」の授業、クラス担任、部活動顧問として生徒たちと直接向き合うことができたのは、新採用から17年間という期間でした。以降の21年間は、当人が決して望んだわけではなく、新任教員の研修をしたり、スポーツ推進のための行政計画をつくったりした教育委員会の勤務や、担任や部活動顧問を管理職として監督する立場となり、生徒と直接向き合うことはなくなってしまいました。

 管理職としては、「商業教育の拠点校」、「スーパーグローバルハイスクール指定校」、「県内唯一の福祉科と芸術コースの併設校」、「現役国公立大学進学者数最多校」など4校に勤め、それぞれに実績や伝統、特長があり、それらを基盤にいかに学校をさらに特色化させるか腐心しました。「学校は生き物」と良く言われますが、「気を抜けば後退する」を真に実感しました。 

 学校の特色化を推進するためには、中心となる教員が必要です。商業教育ならば商業科、グローバル教育ならば英語科、福祉教育ならば福祉科などといった具合です。教科は特色化と深く関連付けられますが、保健体育科の教員が学校の特色化推進の中心的な存在になることは稀、と言うよりほとんどありませんでした。もっと言うと、「保健体育」という教科は、どの学校にも必置であるものの、「国語」「英語」「理科」「数学」「商業」「工業」「農業」といった教科に比べ、学校特色化の核にはなかなかなり得ないばかりか、特色化に取り組む過程においては軽視されてしまう場合があったように思います。「大切だとは分かっちゃいるけど、いざとなったら後回し」という感じです。無論、そうした状況にあっても、学校の特色化のために不可欠な存在となり、献身的に力を発揮している保健体育教員がいることも多数見てきました。

 学校では、特色化のために「学校教育目標」を掲げ、その実現を目指します。大学等で追究する自身の専門性を、各校で多様な方向性を打ち出している特色化に生かすためには何をすれば良いのかを考え、他教科の教員と協働しながら学校教育目標の実現に貢献できる力を備えた保健体育教員を育てたいと思っています。

 21年振りに授業をする機会をいただいた今、そうした保健体育教員の育成を目指して、学生たちにしっかりと向き合っていきたいと思っています。