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会計学を学ぶことの重要性


※職位や内容は投稿時のものです

2022年9月30日更新

 私は大学時代に会計学に出会い、大学院進学や複数の大学で教育歴を積み、今年4月に本学の専任教員に着任した。担当科目は会計学関連科目である。今回は、学生が会計学を学ぶことの重要性を考えてみたい。

 会計とは、特定の組織の経済活動を貨幣額で記録して計算し、その結果を報告するシステムのことをいう。組織には企業、国、家計、大学の部活・サークル等たくさんある。このうち、企業は「利益を得る」という目的をもって経済活動を行う点が他の組織とは異なる。また、企業は他の組織よりも行う経済活動の種類と量が非常に多いため、高度な会計システムが必要とされてきた。このため、大学で習う会計が対象としている組織は企業に限定されている。

 では、会計を学ぶことの重要性はどこにあるのだろうか?

 第一に、近年大学生が就職する際に求められる能力の1つに会計が挙げられる。会計は別名「ビジネス言語」と呼ばれている。言語というと日本語や英語等を連想すると思う。特定の言語のわかる相手同士であれば会話が通じるかもしれないが、どちらか片方でも特定の言語がわからなければ会話は成立しない。会計の知識及びその知識を運用した論理的思考能力を修得しているか否かで、学生が将来担当できる仕事にも影響が出ると考えられる。会計の知識は経理職以外に、営業職等の職種でも近年は必要とされている。例えば、製造業のある企業に就職し、営業職に配属されたとする。そして、スーパーから商品を店舗に置けるよう契約したいとの申し出があった場合、その申し出を受けるか断るかをどのように判断すればよいのだろう?ここで登場するのが、企業の経済活動を貨幣額でまとめた財務諸表と呼ばれる報告書である。財務諸表を見ることにより、取引するスーパーは利益を得ることができているのか?商品の販売力は高いのか?今後の取引増大は見込めるのか?等こちらが知りたい情報を分析することができ、適切な意思決定を行うことができる。つまり、会計の知識を備え、その知識を活かして運用する能力を磨けば将来の仕事で判断するときのツールとして「会計」というツールが増えるのである。日本には約400万社もの企業(内、証券取引所への上場している企業が約4,000社)が存在する。会計学ではこれら企業の経済活動をどのような理論に基づき貨幣額で記録し、財務諸表にまとめていくかを学習する。また、会計学の学習を進めていくと、企業が公表する財務諸表を使ってどのように分析して意思決定するか、等も学習することができる。

 第二に、会計を学ぶことにより世の中で起こっている出来事を詳しく知ることができる。企業の経済活動や業績予想等はよくニュースや新聞等で取り上げられる。会計の知識を備えていることでこれらを読み解き、世の中でどういうことが起こっているかを理解する手立てとなる。

 以上、学生が会計を学ぶことの重要性を考えてきた。その他、会計をもっと詳しく学びたい学生には会計学関連の資格試験をお薦めしたい。中でも、日商簿記検定試験とビジネス会計検定試験は本学でその基盤となる論点を解説する授業を開講しているため、学生には是非その機会を利用してほしい。

 私は上に記した会計学の重要性を伝えるとともに、学問の面白さや興味を引き出せるような授業を行っていきたい。