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言語文化への招待


「言語文化への招待」
経営学部 後藤隆浩
 国際化、情報化が進行する現代の社会状況において、ある程度の英語運用能力を養成するという学習目標は、広く英語学習者に求められているものであると言えましょう。実際のところ、私が毎年担当している大学基礎教育科目としての英語の授業におきましても、「読む、書く、聴く、話す」という言葉の四領域をバランス良く学習することができるように工夫された総合教材を使用して、語学トレーニングを実施いたしております。学習者用教材付属CDの普及により、音声領域の練習もたいへん容易に行うことができるようになりました。今後も学習者にとって利用しやすい教材が、多種類開発されていくことと思われます。
 日本における英語・英文学研究および英語教育の歴史を振り返ってみますと、その成果の蓄積は、質、量ともにかなり高いレベルにまで到達していると言ってよいでしょう。これらの成果の中から、英語学習者にとって有用な事項を精選して、わかりやすく解説していくことは、非常に重要なことであると思われます。このような精選事項を「英語学習における言語文化領域」として整理して提示してみるならば、学習者にとってたいへん参考になり、かなり効果的であろうと思われます。
 現在私は、「英語学習における言語文化領域」の基礎として、「英学史」「英語史」「言葉の意味」「英文学」の四項目の話題を準備しております。簡単にそれらの概要を、紹介させていただきます。

「英学史」:日本近代の歴史において、英語という言語は、どのように人々と出会い、学ばれ、受容されてきたのでしょうか。外国語、外国文化の受容という観点から、英学史は現在も英語学習者に多くの示唆を与えてくれるでしょう。

「英語史」:一般的な英語学習の場においては、扱われる機会の少ない英語史について考察してみましょう。英語の歴史を知ることにより、英語という言語の特質を理解することができると思います。

「言葉の意味」:語学学習においては、意味の領域に習熟することがたいへん重要です。英語の意味と日本語の意味を、比較して分析してみましょう。多元的な認識の視界が広がります。

「英文学」:文学作品の読解において、読者はどのような役割を果たしているのでしょうか。読者の立場から、文学作品の解釈の問題について考えてみましょう。

 英語・英文学専攻という人文科学における伝統的な基礎領域の学術的訓練を受けてきた英語教員として、これらの言語文化の内容をわかりやすく学習者に解説していくことは、学術的成果の継承、伝達の観点から、重要な責務であろうと考えております。
 近年、このようなことを考えながら日々の授業に従事しておりましたところ、この度、本学の総合研究所主催による総合教育講座の一つとして、「TOEICで学ぶ中級英語」という講座を担当させていただく機会をいただきました(2021年12月実施予定)。この講座での学習の中心は、TOEIC形式対応の問題演習となりますが、これに加えて、「言語文化への招待」というタイトルの小講義を行う予定です。将来的には、「英語学習における言語文化領域」の内容を、英語学習者の参考として役立つように、系統的、有機的なプログラムへと、まとめ上げていく必要があるでしょう。今回のこの小講義が、そのための第一歩となりますよう努力していきたいと考えております。