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発想の転換――ゼミ募集の経験談


教授 劉 志宏(国際関係史、経営史)

 今年度私のゼミに20人の学生が応募してきた。本学経営学部経済経営系・教養系教員の中では断トツトップである。私がゼミ募集の時に決めた定員が4名であったが、一次募集で応募者が15人来て、面接の結果全員合格にした。一次募集で定員をはるかにオーバーしたため、当初ゼミ募集を打ち切ろうとしたが、その後も私のゼミに入りたい学生が次々と私の研究室を訪れ、彼らの熱意に心打たれた私は結局二次募集、三次募集を行う羽目になってしまった。

 私が静岡産業大学に赴任したのは平成10年、もう20年近く磐田キャンパスで教鞭をとっているが、私のゼミは最初から人気があったわけでもない。私が所属している学部にスポーツ経営学科があるほどスポーツが盛んで、毎年多くの体育会系の学生が入学し、文系の学生は少数である。私の専門が日中関係史、経営史などで、ゼミのタイトルも「企業関係と企業比較」、どちらかというと歴史にあまり馴染みがない体育会系の学生には不人気である。ゼミの定員4名と決めたのも、どうせそれほど集まらないと考えたからである。当初からゼミの応募者も定員に相応した人数しか集まらず、私のゼミ募集の方針も「来るもの拒まず」、全員合格にしてきた。私のゼミは大学院進学を全面的にアピールしたため、ゼミ生に大学院進学希望者が多く、私も自分の専門知識や大学院での経験を生かして指導し、その結果早稲田大学や静岡大学、広島大学などに次々とゼミ生を進学させることができた。

 ところが、本学での大学院進学を希望する学生が年々減少し、とうとうゼミの一次募集で私のゼミの応募者がゼロになってしまった。二次募集でなんとか二人が応募してきたものの、その二人とも就職希望者、まさにゼミ存続の危機であった。私は何とかしなければと思い、いろいろと試行錯誤の結果、思い付いたのが発想の転換であった。つまり、ゼミ募集の重点を少数派の大学院進学希望者から多数派の就職希望者に移し、ゼミのタイトルも就職活動に欠かせない「表現力のアップ」にして、それぞれの学生に合った理想的な職業に就職できるようなサポートをすることにした。この発想の転換が功を奏し、ゼミ生の人数が一昨年の2名から、昨年11名、今年20名と大幅に増えた。

 もちろん、ゼミ看板の取り替えや発想の転換だけで私のゼミ生が増えたわけでもない。私は担当している講義でプレゼン方式やゲーム感覚の授業方法の導入、映像資料・実例説明の多用など、できるだけ受講生が理解できるように授業方法を改善してきた。一方、講義では受講生の集中力の維持を目的に、毎週必ず課題レポートを書かせて採点し、成績評価をしているため、「厳しい先生」と受講生によく言われ、評判は決して好ましくはない。しかし、学生に対して親身になってよく相談に乗るなど、普段から学生とできるだけ交流をしている。そのため、私は多くの受講生の名前やクラブ・サークル活動、性格などを覚えるようになった。こうした日々の地味な努力がゼミ生増に繋がっていることは間違いないであろう。