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新産業なるか、ステンドグラス


学生部長 教授 佐藤和美 (管理会計 原価計算)

 私の研究は管理会計を主たる領域とし、会計の視点から経営の在り方や組織の効果的管理の可能性を探る内容です。前回と同様、今日のエッセイは専門から離れ、今年度ゼミナールで取り組んでいる課題について書いてみたいと思います。

 今年度私の管理会計ゼミナールははましん地域振興財団からの助成を受けて「ステンドグラスを地域産業とする可能性について」という課題に取り組んでいます。これは、静岡県西部地域のものづくりに携わる中小企業の方たちがステンドグラスを生産品の一つにしてはどうだろうかという発想です。

 ステンドグラスは古来西洋において発生し発展してきたガラス工芸品です。教会の窓ガラスの装飾などによく使われています。大浦天主堂などに見られるように日本にも伝えられ、明治以降愛好家の間では住宅の装飾や小物に用いられています。ところが、この魅力的なステンドグラスですが、私たちの生活の中にそれほど浸透しているものではありません。住宅メーカーのパンフレットをみてもステンドグラスを扱った商品はありません。私たちの住む家々の中にステンドグラスを取り入れて暮らしている人は少ないようです。

 でも想像してみましょう。たとえば、階段を上る時、そこにステンドグラスの窓があると素敵だろうなと思います。階段の無機質で退屈な空間が心弾む、あるいは癒しの空間になります。すっきりと外の見える窓も美しいですが、家の中のどこかひとつそういう場所があってもいいなと思います。

 既存の住宅メーカーが取り扱っていないということは、商品の一つとして販売することに問題があるわけです。ニーズが一定しない。製造を外注することになる。まとまった数量の生産に応える生産者がいるのか。価格が高い。だからこそ、そこにビジネスチャンスがころがっています。ニーズを掘り起こし、生産者を育成し、コスト改良を重ね、問題を克服すれば売れる商品になり、市場は広がって行くでしょう。

 静岡県西部地域は、ものづくり工場が多く集まり、携わる人も多く、ものづくりの精神にあふれています。こうしたものづくり工場がこれまでの技術と経験を生かしてステンドグラスをリーズナブルな値段で販売できるよう改良を重ね、日本人の感覚や嗜好にマッチしたデザインを生み出す。生産されたステンドグラスは、住宅メーカーや家具メーカーが消費者に販売するという構造ができあがると、静岡県西部地域に新産業が創出されることになります。輸入すると高価な色ガラスを地元で調達できるように、ガラス生産者を育成すると、産業のすそ野はさらに広がりを持ちます。

 磐田市に磐田市新造形創造館があります。平成11年に創設され、ガラス造形と金属造形を専門に取り扱う全国でも珍しい体験型の文化施設です。当館にはステンドグラスに関する知識と技術が豊富ですので、これまでステンドグラスに関わりのなかった静岡県西部地域中小企業のものづくり製造業の方たちおよび住宅メーカーや家具メーカーの方たちが当館で教えを受けることができ、技術やデザインの相談を行うこともできます。磐田市新造形創造館は地域産業育成の中心的役割を持つ施設として変貌することになります。

 さて、ここまで夢物語のような話を綴ってきました。この夢は、そのような商品を取り扱ってみたいと考える住宅メーカーや家具メーカー、製造業の方たちの連携があって成り立ちます。連繋が広がると地域産業として根付いていくのですが、最初は一人二人の連携から始まります。この一人二人になろうと考える冒険家を探しています。手を挙げる方はぜひ当方まで連絡を戴きたいものです。

 磐田市や近隣に住む方たちへの現時点でのアンケートによると、55%の人がステンドグラスのある家に住んでみたいと答え、女性に限れば73%と高くなります。ニーズはあると考えます。