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辞書の歴史


准教授 後藤隆浩 (イギリス文学)

 英語に限らず一般に外国語の学習におきましては、辞書を徹底的に活用することが、たいへん重要であります。今回は、辞書に関して日頃考えていることを、述べてみたいと思います。

 大学の1、2年生を主な対象として、基礎教育科目としての英語の授業を担当するようになって、約20年の年月が経過いたしました。この間、日本の英語学習の環境が年々変化し続けてきた状況を、直接、間接に経験しながら、日々の授業を行ってまいりました。CD付の教材や電子辞書の登場は、画期的な出来事であったと言えるでしょう。特に音声領域の学習環境が整いました。このような恵まれた学習環境において、学習者は辞書を十分に使いこなすことによって、着実に英語の運用能力を培っていくことができると思います。

 現在出版されている学習用英和辞典に目を通してみますと、どの辞典もたいへん学習しやすいように工夫されており、非常に充実した内容となっております。日本の英語教育の長い歴史は、学習用英和辞典出版の長い歴史と重なるでしょう。辞書の作成、出版そして改訂作業と、多大な執筆や編集の経験、工夫が歴史的に積み重ねられてきました。

 新しい辞典、改訂版を購入したときには、その辞書の「まえがき」を精読するように心がけております。「まえがき」を読むことによって、それぞれの辞書がどのような理念に基づいて作成されたのかが、よく理解できます。多くの辞書には、ルーツとなる辞書があるようです。複数回の改訂や書名の変更など様々な歴史があるようです。また昔の辞書と直接のつながりのない新企画の辞書の場合でも、その出版社の辞書づくりの伝統、理念といったものが、注ぎ込まれているように思われます。このような観点から辞書の歴史を考えてみますと、それは出版文化史の一領域として位置付けることが可能となるであろうと思われます。