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中国の金メダル至上主義


教授 劉 志宏(国際関係史、経営史)

 ロンドンオリンピックが始まり、日本国内のテレビや新聞報道ではオリンピック一色だが、隣の国中国でも同じように選手の活躍の話題が連日注目されている。オリンピック関連の報道の多くは金メダル獲得に対する称賛だが、その中で一つだけ気になった記事があった。バトミントン女子ダブルスの予選で中国の選手が故意に韓国の選手に負けた。中国ペアは世界ランキング1位で普通にやれば勝てる試合を、わざとサーブをネットにしたり、スマッシュをアウトにしたりした。こうした目に余る行為に試合のアドバイザーが会場内に入り、選手を注意したが、状況は一向に改善されず、結局中国ペアは0対2で負けた。当然ながら、それを見た場内6000人余りの観客から嵐のようなブーイングを浴びたという記事だ。

 これは、世界最高水準の試合観戦を期待して高額のチケットを購入した観客に対する無礼だけでなく、「友情、連帯、フェアプレーの精神を持って相互に理解し合う」オリンピック精神に対する冒涜でもある。わざと負けた理由について、すでに予選を突破したので、明日のトーナメント戦のために体力を温存した、と試合後のインタビューに選手が答えている。もう一つは推測だが、この試合に勝てば、次のトーナメント戦でもう一組の強い中国ペアと対戦することがほぼ決定的となり、そうなると金メダル獲得の可能性が低くなるため、その対戦を避けるための作戦ではないかと思われる。いずれの理由にせよ、金メダル至上主義的考えであることは間違いない。中国ではオリンピックでの金メダル獲得は高額の賞金、昇進、マイホームの贈与、北京大学など一流大学への進学など、バラ色の人生を意味する。そのためにスポーツマンシップに反し、金メダル獲得のために手段を択ばないことが多発している。

 「勝利を収めることは重要でなく、いかに試合をすることが重要だ」国際オリンピック委員会ジャック.ロゲ会長の開幕式での言葉は、中国選手の耳に入らない。その後、わざと試合に負けた中国選手のオリンピックでの試合参加資格が剥奪された。当然の結果である。