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Money, Money, Money...


これらの支払いを済ましてしまうために
私は昼も夜も働くの
これって悲しくない?
私には1ペニーだって残らないのよ
ひどすぎだわでも私はあることを夢見てるの
もしお金持ちの男をつかまえたら
全然働かずにいつも遊んでバカ騒ぎしてやる

 ご存知ABBAのヒットナンバーから、出だしの歌詞(丹羽訳)をご紹介しました。マネーはいつの世、どこの国でも人間の最大の関心事の一つです。「たかが金、されど金」…お金の流れは目に見えませんが、その巨大なパワーで休みなく世界を動かし、また個人や会社を(時には国家さえも)一瞬で壊滅させます。今回はそんなマネーフローにまつわる話を聞いて下さい。

 まずはユーロの話。いまユーロが危機に瀕していますが、その原因は実に明白です。要は信認のない国が限度を超えて信用創造をしたこと、わかりやすく言えば「支払能力がない者にクレジットカードを持たせた」ことに尽きます。普通ならこの浪費家が破産すればそれで終わりですが、ユーロの場合は仲間うちで家族カードを持ちあっているようなもので、他人の無駄遣いを自分たちで負担しなければならないのです。

 これはいかに運命共同体といっても無理があります。ビジネスに例えれば、ある企業集団が「自分たちは一蓮托生だからこれからは手形を連名で振り出そう」とするようなものです。あなたがそのメンバーだったとして、自社だけリストラせずにいい顔をしたり、あるいは毎晩派手に遊びまわったりする他社の手形が回ってきたら、決済する気になりますか。ユーロも基本的にはこれと同じことです。どんなに親しい友達でも金のけじめは必要なのです。アジアでもひところ共通通貨構想が喧伝されましたが、各国の経済レベルや価値観の大きく異なるアジア域内においては、なおさら難しいスキームです。

 このようにお金はものごとの本質を明らかにします。「お金はウソをつかない」というのは本当です。仮に名前、年齢、性別など一切不明な人物でも、もしその人の1年間のお金の出入りをすべて把握できたら、日常生活から職業、趣味、交友関係、性格までほとんど言い当てることが可能です。企業財務を学ぶ理由も実はここにあります。楽譜が読めない人にとってそれはただの記号の羅列ですが、オーケストラの指揮者はそれを見るだけで頭のなかに交響曲を鳴らすことができます。同様にもし分厚い有価証券報告書を読みこなせるなら、あなたはその会社のつぶやきや足音、歓声や悲鳴などをはっきり聞くことができるでしょう。

 でもやっぱりマネーの世界はわかりにくい…ですよね。たしかにお金の流れは目に見えず、音も立てません。しかし実はそのルールはただ一つ「利子率の低いところから高いところへ流れる」という原則だけです。ちょうど水がどんな回り道をしても最後は一番低いところへ行き着くように、マネーは常に少しでも利子率(リスク加味後)の高い方へと向かいます。ですからもしその流れをつかまえたら、冒頭の歌詞のように「全然働かずにいつも遊んでバカ騒ぎ」も夢ではないかも知れません。実はロシアの文豪ツルゲーネフもこう言っています。

「金は天下のまわりものだ。いつもこちらをよけてまわるのが気にくわないが。」