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通信33「美しさ」と「書いたさ」の方程式


静岡産業大学 専任講師 熊王康宏

万年筆を使う私にとって、インキの色は、仕事を効率的に進める上で重要な要因となっている。スケジュール帳に、インキの色を変えて予定を組むことで、一目で大事な項目を理解できる。インキの色にはテーマがあるものもあり、単なる“Black”と“○○Black”とでは、事務的な“Black”とそうでない“Black”のように、同じ黒色でも色の風合いが全く異なっている。こうした色彩は、人の心理、特に、感性と密接に関わっている。公式文書などで用いられるインキは、耐水性、耐光性に優れている、黒、ブルーブラックが定番となっている。非公式な文書などでは、書く人が好む色が用いられ、様々な場面で楽しまれている。インキの中でも、日本の自然・景色など、情景を題材としたインキが発売されており、非常に人気が高い。インキの色に合わせたネーミングとボトルは、一般的なインキとは、商品の外観が異なっている。

ハーバード大学数学教授G. D. バーコフ博士は、「芸術的度」となる「美しさの程度」を「秩序」と「複雑さ」の2変数を用いて計算した。インキの色とボトルには、「美しい」と感じる要因があり、消費者の訴求を向上させるためには、これらがどのように「美しい」と感じられ、その「買いたさ」という購買評価に影響されているのかを明らかにする必要があった。そこで、青系、紫系、橙系、緑系のインキの色を感性評価した結果、人は「魅惑的」、「斬新さ」、「高級感」、「伝統」という側面で評価していることが把握できた。さらに、青系インキには「魅惑的」、「高級感」を感じ、紫系のインキには「斬新さ」を感じていた。こうしたインキの「買いたさ」は、「魅惑的」で「高級感」のある色が良い印象をもたらす要因となることが明らかとなり、「買いたさ」を数式で表現することが可能となった。

単に、色を変えて手帳に記すだけではなく、新たに生まれた斬新なアイデアなどは、紫系のインキで記したいものである。