グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  リレーエッセイ >  地域再生に向けた人と地域資源との出会い

地域再生に向けた人と地域資源との出会い


 経営学部 教授 小泉 祐一郎
 全国各地で商店街の空き店舗、集落内の空き家、農村の耕作放棄地、山村の放置森林・竹林が増加しています。これらの使われなくなったものも、かつては、ある人がある目的で活動するための手段として使用されていたものです。
 つまり、空き店舗、空き家、耕作放棄地、放置森林・竹林は、使う人と使う目的が失われたために発生しているのであり、使う人と使う目的が与えられれば再生することになります。
 私は、約30年前から全国各地の地域再生の現場を訪問し、キーパーソンと出会ってきました。現在は、大学での研究・教育に加え、総務省所管の一般財団法人地域総合整備財団(ふるさと財団)の地域再生マネージャー事業のアドバイザーとして、全国各地の地域再生の取組に助言をしています。
 空き店舗、空き家、耕作放棄地、放置森林・竹林は、これを何らかの目的で活用しようとする人が使用することによって再生します。私が以前調査した東京都の通称「谷根千」(谷中・根津・千駄木)では、空き家や空き店舗が若手のクリエーターたちの工房兼店舗に変身していました。これが実現したのは、若手のクリエーターたちと建物の所有者を繋ぐ不動産屋さんの存在でした。
 静岡県内では、沼津市の商店街、静岡市の用宗地区、川根本町の集落など各地でリノベーションまちづくりが進められています。また、耕作放棄地や放置森林・竹林を新規就農者やNPO、企業が活用する新たな取組も行われています。
 地域にある空き家、空き店舗、耕作放棄地、放置森林・竹林等の未利用のストックが活用されるためには、これらを目的を持って活用しようとする人や団体との出会いが必要です。地域の再生にとって重要なことは、そうした出会いの機会を創出することです。このマッチングが地域再生の鍵を握っているのです。学生の皆さんには、自分の関心のある目的の視点から地域の身近な未利用の資源を見直してほしいと思います。

学生による里山の活用調査(R1神奈川県:著者撮影)

学生による空き家の活用調査(H30金沢市:著者撮影)