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つながって学びを深める、人生を良くする ~静岡県社会教育委員の活動から~


※職位や内容は投稿時のものです

2025年5月15日更新

 皆さんは、「社会教育」をご存知ですか?私たちが生活している「社会」いう場で、興味のあること等についていろいろな方法で学ぶことをサポートする「教育」を「社会教育」と言います。教育基本法第12条にも明示されていて、学校教育・家庭教育と並び、私たちの生涯にわたる学びを支えています。したがって、国や県・市町においても、社会教育活動が活発に行われるような仕組みが整えられています。その一つが社会教育委員の制度です。

 社会教育委員は、社会教育法第第15条に基づき、各都道府県・市町村に置かれ、会議を開いたりして、教育委員会に対し社会教育に関する助言をしています。静岡県でも県、各市町それぞれに複数の社会教育委員が置かれています。ここでは、静岡県社会教育委員の活動を紹介しましょう。

 静岡県社会教育委員は、学校教育及び社会教育の関係者、家庭教育の向上に資する活動を行う者、学識経験者の中から20人以内が委嘱され、任期は2年、委員会を構成して隔月1回定例で会議を開いています。1949年に社会教育法、1950年に静岡県社会教育委員条例が制定され、それらに基づいて設置された社会教育委員は2025年5月現在、39期を数えます。第14期(1974年)以降は、教育委員会からの諮問題を隔月開催の社会教育委員会で協議し、提言を取りまとめ、報告書を教育委員会に提出しています。近年(第36期(2018年)から現在)の委員会では、子供の貧困や誰もが共に学び合う生涯学習社会について協議し、「誰一人取り残さない社会の実現に向けた社会教育のあり方」を提言しています。

 2024年12月に提出された最新の報告書「新しい時代における社会教育-社会教育を基 盤としたウェルビーイングの実現に向けて-」は第38期静岡県社会教育委員会によるものです。報告書のタイトルは教育委員会からの諮問題と同じですが、その中に「ウェルビーイング」というようにカナカタ用語が登場するのは珍しいことです。このウェルビーイングという用語は戦後すぐに登場したものですが、令和の時代になって国の諸計画で用いられるようになってから注目を浴びています。委員会の協議では、このウェルビーイングについて、誰もが今より少しいい未来を目指してさまざまな人々のつながりを大切にする考え方と捉え、そのために社会教育は「全ての人に学びの場を保障、提供すること」を役割として認識し、新しい時代において「さまざまな主体とのつながりを意識した学びの場を創出する」方向に活動する必要があることを提言することとなりました。報告書のキーワードは「つながり」です。

 また、つながりを意識した学びの場を創出すると言っても、新たに何かを作り出すというよりも、まずは今現在の活動を「つながり」の観点から確認し、新しい時代の全ての人のニーズに応じるため活動に再構築していこうという発想から、「つながりチェックシート」なるものを提案することになりました。報告書には、シートだけでなく、実際の活動を「つながりチェックシート」を用いて検討した活用例が複数掲載されています。興味を持たれた方は、是非以下のURLにアクセスしてみてください。

 • 第38期社会教育委員会報告書 (PDF 5.2MB)
 • 第38期社会教育委員会報告書概要 (PDF 532.8KB)
 • つながりチェックシート (PDF 525.6KB)

 日々思いがけないことが起こる今の時代を、不安におびえて過ごすことなく前向きに生き抜くためには、昨日のままで良いとする考え方から脱却し、今この時の状況に向き合う最適な方法を、常に更新する、すなわち新たな知識や情報を集めて必要な技術や力を身につける学びが重要です。その学びを、場所や時間の限定なく提供するのが社会教育です。学校だけが学びの場ではない、子どもの時代だけが学びの時間ではない、そして一人で学ぶのもいいけれど、お互いに励まし合って助け合って、教え合い学び合う中で力を伸ばせばいい、そういうしなやかで開放的な考え方が社会教育の特長です。この社会教育をさらにパワーアップさせるためのキーワードが「つながり」です。皆さんもいろいろなつながりの中で、学びを深め、良いより人生を送ってみませんか。