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【研究成果】エキセントリックサイクリングは一般的なサイクリングよりも楽に実施でき、かつ大きな運動効果をもたらす可能性を発表


リリース日:2022.03.09
静岡産業大学(静岡県藤枝市・磐田市/学⾧ 鷲崎早雄)スポーツ科学部江間諒一准教授は、サイクリング運動中の筋活動量と主観的な運動強度を評価しました。ペダルを踏みこむ一般的なサイクリングよりも、逆回転するペダルに抵抗力を加えるエキセントリックサイクリングの方が、身体運動において重要な役割を果たす大腿直筋(太腿前面中央を走る⾧い筋)をよく活動させることができ、有効なエクササイズとなる可能性を明らかにしました。

運動の様式や強度を選ぶ際、狙いとした筋に対して効果が期待できるかどうか検討することが重要です。狙いとする筋は、その筋の機能が向上することで、身体運動パフォーマンスやQOLの改善が期待される筋であるべきです。大腿直筋は、まさにそれに合致した骨格筋であり、サイクリング運動を行ったときの筋活動量や感じるきつさを調べることで、適切な運動様式と強度の選択に繋がることが期待されます。

※この研究成果は、「Journal of Electromyography and Kinesiology」に掲載されています。

ポイント

  • 一般的なサイクリングと逆回転するペダルに抵抗力を加えるサイクリングを比較
  • 太腿の筋肉、特に身体運動において重要な役割をはたす大腿直筋に着目
  • 将来的に、ペダルに抵抗力を加えるサイクリングの普及発展が期待される

図. エキセントリックサイクリングマシン

研究の背景

サイクリングは、健康増進や体力の向上を目的として広く行われている運動です。一般的なサイクリングは、脚部の筋が力を出してペダルを踏みこみます。これは、骨格筋が短くなりながら力を発揮するコンセントリック(短縮性)運動であり、コンセントリックサイクリングとも呼ばれます。近年、海外を中心に、モーターの力でペダルを逆回転させ、その回転に抵抗する(回転を止める)ように力を加えるエクササイズが注目を集めています。このとき、骨格筋がその⾧さを伸ばしながら力を発揮するので、エキセントリック(伸張性)サイクリングと呼ばれています。ダンベル運動でいえば、ダンベルを持ち上げるのがコンセントリックであり、ダンベルを下ろすのがエキセントリックです。

一般的な運動であるコンセントリックサイクリング時、脚部筋の活動量は同一ではなく、筋によって異なることが報告されています。その活動量が、近年注目を集め始めたエキセントリックサイクリング時と比較してどうなっているのか、運動強度との関連はどうなのか、といった点は十分に明らかとなっていませんでした。特に、大腿直筋の活動はほとんど注目されていません。ここ数年の研究により、大腿直筋はアスリートの高いパフォーマンスや高齢者の身体運動のカギとなる骨格筋であることが報告されるようになってきました。そのため、大腿直筋に着目した検証が必要でした。

研究方法

本研究では、複数の強度において、コンセントリックサイクリングとエキセントリックサイクリングをランダムに実施しました。サイクリングマシンの設定を100W、150W、200W、250W、および300Wの5強度に設定し、若年男性が各30秒間(1分あたり60回転のペース)のサイクリングを行いました。表面筋電図を用いてサイクリング中の脚部筋(大腿直筋、外側広筋、大腿二頭筋)の筋活動量を計測しました。また、どの程度のきつさを感じたかを評価するボルグスケールにより、主観的な運動強度を調べました。

実験結果と今後の展望

実験参加者は、5強度いずれにおいても、コンセントリックサイクリングと比べてエキセントリックサイクリングが楽だと感じていました。それにもかかわらず、大腿直筋の筋活動量は、低強度ではエキセントリックサイクリングの方が大きく、高強度ではコンセントリックサイクリングと統計的な差がみられない結果でした。一方、外側広筋と大腿二頭筋については、5強度すべてで、コンセントリックサイクリング時のほうが筋活動量は大きい結果となりました。すなわち、外側広筋と大腿二頭筋は、きつい(コンセントリック)運動時に大きな活動量を示したのに対して、大腿直筋は楽に感じた(エキセントリック)運動時により活動することが示されました。

本研究は、一時的なサイクリング運動を調べた横断的研究であること、表面筋電図という1つの観点からのみ筋活動量を評価した研究であること、といった限界はあるものの、エキセントリックサイクリングが大腿直筋の機能を向上させるために有効なエクササイズである可能性を示しました。エキセントリックサイクリングは、日本ではまだ普及した運動とはいえません。今後、エキセントリックサイクリングの有効性をさらに検証し、新たなエクササイズとして普及・発展させていきたいと考えています。

研究助成

本研究はJSPS科研費(JP19K20055)の助成を受けたものです。

論文情報

著者

静岡産業大学 スポーツ科学部
准教授 江間 諒一

論文名

Unique neuromuscular activation of the rectus femoris during concentric and eccentric cycling

掲載誌

Journal of Electromyography and Kinesiology

DOI

取材に関する問い合わせ先

静岡産業大学 広報・メディア課 佐野
電話:054-631-5840 / FAX: 054-646-5461
E-mail: koho-media@ssu.ac.jp