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通信28「アイデンティティ考」―いきいきと輝き続ける? 自分らしく生きるって・・・何よ??-


経営学部准教授 藤田依久子

今は昔に比べて海外に移住する人や長期間留学する人たちが増えています。海外に長期間留学した人たちの中には、時々自らの「アイデンティティ」に問題を抱え込んでしまう人たちがいます。
例えば、イギリスに数年間留学したある人は、自分が日本に帰属意識がなく、かといってイギリス人にもなりきれなくて、一体自分は何なのか、という疑問を持ち悩んでいました。こういったアイデンティティの問題は、この人だけの問題ではありません。

自分は一体何者なのか、自分らしく生きる、ということはどういうことなのか、いきいきと輝いていたいのだが、どうすればよいのか、といったような問題は、青年期に誰もが持つアイデンティティの問題であるとも言えます。

「アイデンティティ」を言葉で説明すると、ちょっと難しくなってしまいますが、自分自身について、いつも自分は同じであるという感覚と、ある種の本質的な特質を継続的に他者と共有している、という感覚の両方を含む「自己感覚」であるということになります。「アイデンティティ論」は、フロイトの弟子のE.H.エリクソンによって広められました。

沖縄は、歴史的に見ると、さまざまな外国の文化と交流を持ちながら、独特の沖縄アイデンティティを育んできました。沖縄の人たちは、自分たちの生まれ育った沖縄という地域に強い愛着と誇りを持ってきたのです。
つまり、沖縄の人たちは、自分自身について「沖縄人(うちなんちゅ)」としての価値観や物の考え方に一貫性を持ち、そのことを地域内の他の人々(仲間たち)と共有している、という感覚を強く持っているのです。
また、沖縄アイデンティティの素晴らしいところは、ただ伝統文化を守るということだけにとどまらず、特に若い人たちが中心になって、積極的に自分たちの沖縄文化を内外に向かって発信しているところにあります。沖縄が文化の発信地になっているのです。
沖縄は今、いきいきと輝いているのです。このことは、アイデンティティの問題に悩んでいる人たちに一つの解決策を与えてくれているのではないでしょうか。

心理的に自己を関係づけ、行動や態度の拠り所としているような集団を「準拠集団(reference group)」と言います。たとえば、家族や自分が所属している学校、地域、会社、政党、宗教団体等が、準拠集団として考えられます。準拠集団から、その人の価値観や人生観が引き出されることとなります。また、準拠集団をもつことが、心理的な安定につながる、と言われています。

自分には仲間がいる、自分は守られている、自分には帰る場所がある、といった感覚を持つことは、とても大切なことです。それは、故郷の地でも地元の仲間でも良いし、家庭であっても良いし、信仰であっても良いのです。人は自分の心の拠り所となるものがある時、精神の安定が得られ、輝き続けることができるのではないかと思われるのです。