グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  応用心理学研究センター >  通信18「うつと認知行動療法」

 

通信18「うつと認知行動療法」


静岡産業大学 非常勤講師 平野美沙子

うつ病は現代の日本社会に蔓延する現代病だと言える。特に都心のサラリーマンの間では珍しくもない。あの人も、この人も、というような調子でうつ病患者はどこにでもいる。

現在、うつ病に対しては一般的に抗うつ剤などの薬物療法が用いられる。しかし、抗うつ剤は対処療法でしかなく、抗うつ剤だけを使用した場合、うつ病は再発する可能性が高い。今そこに、認知行動療法という心理学的アプローチが導入されようとしている。うつ病になると、あらゆることがネガティブに見えてしまい、自分は何をやってもダメだと悲観的に考えてしまうのだが、その憂鬱な気分を薬で抑えるだけでなく、否定的に考えてしまう原因を知り(認知し)、否定的にならないように行動を変える手助けをするのが認知行動療法だ。患者は定期的にカウンセラーのカウンセリングを受けながら、自分の考え方の癖(否定的に考えてしまう癖)を見つめ直し、それをカウンセラーと一緒に改めていく。これはうつ病の根本原因に対処する治療法であり、抗うつ剤と併用した場合、うつ病の再発率は劇的に低下する。

欧米ではカウンセラーによるカウンセリングは非常に一般的で、うつ病の治療に限らず、多くの人が様々な問題でカウンセリングを利用している。が、日本では未だにカウンセラーと1対1で向き合うカウンセリングに苦手意識が強い。「本音」と「たてまえ」を使い分けることの多い日本人は、自分の「本音」を人にさらけ出すことに抵抗感が強いこともある。自分の本心を自ら意識的に直視する機会さえ、避けようとする人が多いのかもしれない。そのため日本では、カウンセリングは未だ十分に医療分野へ浸透していない。

自分の本心(心理)を認識し、それを自分で見つめ直し、分析することの治療的意味合いは大きい。うつ病の治療法として認知行動療法が注目されていることは、そのことを象徴していると言える。