静岡産業大学総合研究所 研究員紹介 2026

と健康に 私は運動器スポーツ医学を専門とし、 子どもから高齢者、そして働く世代まで、 一人ひとりが日常生活や仕事、スポーツ を「自分らしく続けられる」身体づくりを 支援する研究に取り組んでいます。ロコ モティブシンドロームやフレイルの予防、 スポーツ障害の発生要因の分析、アス リートのコンディショニング支援など、運 動と健康に関わる課題を幅広く対象とし ています。研究の中心にあるのは、“動き” を科学的に理解し、その人の生活の質向 上にどのようにつなげていくかという視 点です。 自治体との連携では、高齢者を中心と した身体機能測定や健康調査を継続的 に実施し、地域の健康状態の把握と改善 に寄与しています。通いの場での測定会、 自治体のLINE公式アカウントを活用した 大規模アンケート調査など、多様なアプ ローチを通じて多角的なデータを集め、 地域住民の健康実態を可視化してきまし た。特に、ツーステップテストや立ち上が りテストといった簡便で効果的な評価法 を普及させることで、ロコモ・フレイル予 防の早期発見と対策に役立てています。 こうした取り組みは、身体機能の向上 だけでなく、地域のつながりや活動参加 意欲の改善など、心理・社会的側面にも 良い影響を及ぼしていることが確認され ています。地域と大学が協力しながら住 民の健康を支える仕組みづくりは、今後 の高齢社会においてますます重要な役割 を果たすと感じています。 企業や自治体と進めている「健康経営 支援」も、私の研究テーマの大きな柱で す。従業員の筋力、柔軟性、バランスなど の身体機能を測定することに加え、従業 員自身が自らの健康状態をどのように認 識しているかを評価する主観的指標を重 視しています。 これは、定期健康診断のような客観的 な数値だけでは捉えきれない、従業員の 「幸福度「」活力「」疲労感「」仕事へのエネ ルギー感」といった内面の変化を把握す るためのものです。たとえば身体機能は 改善していても、本人が疲労を強く感じ ていれば生産性は向上しませんし、逆に 活力が高まることで業務効率が上がる ケースもあります。こうした主観的健康の 視点を取り入れることで、健康施策の効 果を多面的に評価でき、企業の意思決定 に大きく貢献しています。 また、消防職員の健康と安全を支える プロジェクト研究にも力を入れています。 消防職員は、火災現場での活動、重装備 での移動、要救助者の搬送など、極めて 高負荷の業務に日常的に従事していま す。その結果、腰痛や肩痛をはじめとする 筋骨格系障害(MSDs)のリスクが高く、 職務の継続にも影響することがあります。 本研究では、身体機能の詳細な測定に 加え、ウェアラブルデバイスを活用して勤 務中の身体負荷の蓄積やストレスを可視 化しています。さらに、重装備での階段昇 降、ホースの操作、要救助者搬送など、消 防特有の動作を三次元動作分析や筋電 図により科学的に解析し負担の偏りや障 害リスクの高い動作パターンを明らかに しています。 これらの成果は、障害予防を目的とし たトレーニングプログラムの開発や、若手 消防職員向けの教育研修の内容改善に つながっています。消防の現場における 安全性向上に直結するだけでなく、地域 防災力全体の強化にも貢献する取り組 みとして位置づけています。 教育面では、学生が地域の健康測定 会やスポーツ現場に参加し、企画、運営、 測定、データ分析、フィードバックまでを一 貫して経験する「プロジェクト型学修」を 推進しています。机上の学びだけでは得 られない、コミュニケーション能力や課題 発見力、現場対応力が身につきます。消 防職員プロジェクトにも学生が関わるこ とで、専門家と協働しながら取り組む経 験が大きな成長につながっています。 私自身、スポーツ現場でのトレーナー 活動、高齢者施設でのリハビリ支援、ス ポーツ医学クリニックでの実践など、幅 広い現場経験を積んできました。こうした 経験を研究と教育に生かし、「科学的根 拠に基づく実践」と「現場経験に基づく研 究」を往復しながら、多様な健康課題に 取り組んでいます。 今後も、ロコモ・フレイル予防、働く人 のMSDs対策、消防職員の健康支援、さ らにはスポーツ現場の障害予防に向けた 研究を継続し「、動けるカラダ、続けられる シゴト。未来もずっと健康に」という理念 のもと、地域社会に貢献できる研究を進 めてまいります。 ■生涯を支える「動けるカラダ」の ための研究と地域連携 ■主観的評価を取り入れた 健康経営と働く人の支援 ■地域とつなぐ教育・実践を 重視した人材育成 14 スポ ーツ科学部

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