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積み重ねた努力と成功体験


准教授 窪田辰政 (スポーツ心理学、ヘルスカウンセリング学、テニス)

 長い年月をかけて何かを成し遂げるということは、大きな労力と意志を必要とします。取り組み始めたものの、その過程は先の見えない道を手探りで突き進むようなものであり、いつまでも終えられないのではないかという気さえします。しかし、過去に印象深い成功体験があれば、ゴールに辿り着く喜びと達成感を反芻し、それらを求めて取り組もうと努力することができます。私の場合、長い年月をかけて取り組んだ研究がありましたが、最近それを博士論文という形にまとめ上げることができました。その研究は幸いにも各方面から良い評価をして頂き、達成感はもちろん結果がついてきたという喜びを感じることができました。研究が上手くいかずに苦しんだこともありましたが、家族や仲間たちに支えられ、無事に成し遂げることができたのだと思います。

 とは言え、「やればできる」と分かっていても、なかなか実行できない人は多いのではないでしょうか。そのような人の中には、過去の失敗や挫折等の苦い経験が思い起こされ、取り組むことができない人もいるのだろうと思います。誰しもが、いつ何時も気持ちよく何かに取り組めるわけではありません。そういった考えから、私は自分のフィールドを活かすことのできる身体活動(運動)と自己効力感(自信)に着目し、これまで研究を行ってきました。これこそが、前述した「形となった研究」であり、私の大きな成功体験です。その内容は、運動習慣が定着しておらず、運動に対する自己効力感も低い中学女子生徒を対象として、運動を行うこと自体へのモチベーションを高めるというものです。身体活動量の測定やその記録を行った上で、悩みや課題を2種類の自己カウンセリングシートで浮き彫りにし、不安や緊張を軽減させることで、それが実現できます。自己カウンセリングシートの開発には、SAT光イメージ法という手法を用いました。光というと蛍光灯や蝉燭等、様々なものがありますが、この研究では、母親のお腹の中で太陽光のような、暖かく安心感を与える光に包まれる場面を想像しながら、シートに回答を記入してもらいました。これまでの研究から、暖色系の光を想像するだけでも脳内の幸福物質と呼ばれるセロトニンの分泌を促し、落ち着き感や満足感を得ることができるということが科学的に証明されています。この手法はいつでも行うことができ、また手順も簡便なので誰でも利用することができます。そういった利点を活かして指導を行いました。その結果、中学女子生徒の運動に対する自己効力感を高め、身体活動量の増加とストレス反応の軽減が確認されました。加えて、生徒たちが持つ運動に対するイメージが、ネガティブなものからポジティブなものへと変化したことから、本研究で開発された教育プログラムの有用性が確認されました。長い間取り組み続けてきたことに対して、自分の頑張りが報われた瞬間でもあります。

 こうした自身の経験から、学生に対しても成功体験をしてほしいと思っています。特に大学での学びは中学・高校とは異なり、自分が決めた分野に4年間という年月をかけてじっくり取り組みます。そのために私は教員として、学生に挑戦と活躍の場を提供したいと思っています。静岡産業大学では私の他にも、専門性をもった教員が個々に工夫を凝らして教育を行っています。そのため授業や部活等の日常生活の中で、自分の目指すべき道を発見することができるでしょう。また、その道のプロである教員を案内人として自分のゴールを目指し、暗中模索しながらも辿り着く喜びと達成感を味わってほしいと思います。こうして得た成功体験は他の何にも代えがたい財産として、社会に出る際の最強の武器となるのだと思います。