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個々の学生が輝く教育方法の開発をめざして


准教授 窪田辰政 (健康管理学、健康運動心理学、テニス)

 学生の意欲をいかに引き出すか、ということが今日の教育現場における大きな課題です。勉学やスポーツといった多くの活動に対する意欲の低下は、習得効率の低迷を生み、失敗経験の増加につながります。それが学生の意欲を更に低下させ、どのような挑戦に対しても希望が持てなくなってしまうのです。このような悪循環を断ち切るために必要なものは何なのでしょうか。

 この問いに対する答えは、「自己効力感」なのではないかと私は考えます。自己効力感とは、「自分ならできる」という主観的な自信度のことです。自己効力感が育てば、学生は自発的に努力する姿勢が身に付き、その成果が成功体験に結びつきます。成功を積み重ねることで自尊感情が育ち、更なる意欲をもたらすという好循環が生まれるのです。この意欲や姿勢が身につけば、社会に出てからも学生は成長することができるでしょう。本学でいう「大化け」することができるのです。

 私自身は近年、心理学や教育学の専門家でなくとも学生の自己効力感を育める指導法を開発しています。身体活動に対する心的な負担を科学的に可視化する技法であるSAT法を活用した自己カウンセリングシートがその一つです。このシートに回答してもらうことで、教員は比較的簡単に学生の心理的・科学的サポートができます。実際に教育介入を行った例として、まず、文章を書くことに苦手意識のある大学生への介入が挙げられます。文章を書く際の不安な気持ちや感情が、シートへの回答によって可視化されたことで、文章を書く動機づけができました。近年では同じ介入を、運動習慣が定着していない女子中学生を対象に行ったところ、生徒の身体活動に対する自己効力感が向上するとともに身体活動量も増加し、運動習慣の定着の第一歩をサポートすることができました。これらの実践例を通じて、自己効力感を高める指導法は、専門分野を問わず効果的であり、また、シートを用いることで教員は簡便に介入できるということがわかりました。

 今後の課題としては、研究成果を実際の教育現場で活用するために、その実用性を高めることが挙げられます。実技や講義を担当する教員として、また、健康心理学等を専門とする研究者として、双方の立場を活かして学生の自己効力感を向上させる実践的な教育法を開発します。そして、自信のない学生が自信をつけられるような教育イノベーションに取り組み、心身の健康と成長を自らケアできるような学生を育てたいと考えています。