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「21世紀型オンライン・ディクショナリーの利点と優位性」-夢の辞典-


教授 須部宗生 (辞書学・日英表現比較・小学校英語教育)

 私は英語教員の傍ら、幾つかの研究テーマを持っています。ここではその内私が最も長く携わっているテーマで、あまり学生には話したことのない「辞書編集」について触れてみたいと思います。

 皆さんは辞書と言えば恐らく紙媒体のものや電子辞書を思い浮かべるでしょう。私もかつてはこのような形の辞書の編集に加わってきました。しかし、私は一辞書編集者として紙媒体や電子辞書の良さはそれなりに認めながらも、21世紀には「オンライン辞書」の時代が来ると信じていますし、私もすでにその運営管理の仕事に携わっています。実際、オンライン辞書には従来の紙の辞書や電子辞書にはない、圧倒的な利点や優位性があるのです。紙媒体辞書や電子辞書は、出版された瞬間から時代の変化に取り残されて、内容が古くなっていきます。しかしオンラインの場合には、時代の変化に合わせて随時追加、変更、削除が可能ですので、時代の動きに合わせて進化し続けるのです。また編集者の立場から見ますと、オンラインは編集作業のスピードという点でも利点があります。私は過去に二つの大型の英和、和英辞典の編集作業に参加しましたが、どちらの編集にも約10年ほどの時間がかかりました。ですから特に大型の辞典には出版の直前には内容の再チェックと加筆訂正という大変な作業が必要となるのです。それほど現代社会は、めまぐるしいほど速く変化して行くと言えます。しかしオンラインディクショナリーは、以上のような紙媒体辞書や電子辞書の宿命的な欠点と限界を見事に克服したのです。またオンラインはデータを大型のデータベースに記録することで、紙の辞書の物理的なスペースの制約という辞書の課題を解決したという点で、私にとってはいわば「夢の辞典」と呼べるほどの存在なのです。

 実際、オンラインディクショナリーはユーザーにも好評です。オンライン辞書は莫大なデータにパソコン一つで一瞬にアクセスできますから、仕事場や書斎の物理的なスペースのゆとりが生まれ、結果的に仕事や研究・翻訳・勉学などの効果が格段に上がるはずです。さらに出版社にとっても紙代、輸送費、倉庫費などが圧縮できる分、アクセス料を安価にすることができます。現に私が管理運営しているKOD(研究社オンラインディクショナリー)と呼ばれる辞書検索サービスでも普通の使い方をする人用の「スタンダード会員」の場合、24時間使い放題で一ヶ月のアクセス料はコーヒー一杯分ほどの安さだそうです。私は毎日大変な作業をしていますと、正直何故こんなに安いのかと疑問に感じることもあるほどです。また、オンライン辞書には、大量のパルプを消費する紙媒体辞書に比べ、森林破壊につながることもなく環境にやさしく、地球温暖化防止になるという思わぬ利点もあると考えられます。

 現時点ではこのオンラインディクショナリーを立ち上げている出版社は少数ですが、やがてはもっとその数が増えて、さらにユーザーフレンドリーな辞書の時代が来ることを私は願っています。因みに、KODの場合にはインターネットで「KOD」と入力しクリックすれば、デモ版も体験が可能です。興味のある人は是非試してみてください。後で感想などをお知らせくだされば幸いです。