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世界の観光都市で考える3Sの経営学


教授 山﨑 克雄 (国際経営学、経営戦略)

 欧米のジャーナリストや知識人が選ぶ「住むのに適した三都市は3S」と言われています。3Sとはサンフランシスコ(San Francisco)、シンガポール(Singapore)、シドニー(Sydney)を意味します。

 本年3月に三大学連携支援事業(注1)の一環で川口情報学部長、経営学部の吉岡先生と一緒に、シンガポールとシドニー(オーストラリア)にある大学院を訪問しました。シドニーは今回が初めてでしたが、他の2Sは教員になる以前の国際ビジネスマンの時を含め、数回訪問していますので、これらの国がなぜ3Sに選定されるのか推考できます。3Sには次のような三項目において共通する優秀さがあります。
  1. 清潔な大都市である。(小都市であると限定された生活しかできない)
  2. 風光明媚である。(海洋に面していることが条件のひとつです)
  3. 文化の香りが高いこと。(ここでの文化を構成する要素には言語、宗教、価値及び態度、行儀及び慣習、物質文化、美学、教育、社会制度が含まれる)

 今回訪問したシンガポールにある唯一の国立大学(National University of Singapore/NUS)では、全て英語で授業がなされています。NUSは国立大学ということに甘えず、授業料収入で通常の大学経営をしています。同国の面積は静岡市のほぼ半分ですが、総合大学であるNUSのキャンパスは広大で、学内にはバスが運行されています。また樹木も多数あり、勉学に最適な環境が整っています。同国はゴミを落とせば罰金が科せられることもあってか、繁華街に行っても清潔でした。

 一方、日本型経営(特に工場運営)の基本となる特徴にも、3Sと言われるものがあります。これは整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清潔(Seiketsu)の頭文字を取ったものです。日本の高品質な製品は、3Sが実行されている工場から生まれています。日本人の労働者には、3Sというだけで理解可能なので、実行力が伴って物作りに生かされます。日本の企業が海外に進出して、日本で製造している製品を海外生産する場合でも、3Sを実施します。進出当初は大変苦労が多く、日本語のわからない外国人にこれを教えなければならず、まずは英語に置き換えて、その意味を簡単な英語で説明します。一例ですがSeiketsu は「一語ならばStandardizeで、Eliminating waste(無駄をはぶく)ということです」と、彼らに分り易い表現や意味に変えて教えます。海外生産はこのように一事が万事、時間と労力が費やされますが、低廉なコストで消費者に近いところで生産できるメリットがあるので推進されています。このように国際経営学というのは外国を舞台にした経営学と言えます。

 「清潔」であることは観光ビジネスでも国際経営でも重要なことが分りましたが、国際経営学にはさらに5Sというのがあり、3Sに清掃(Seiso)と躾(Shitsuke)が加わります。観光ビジネスでは3S都市に上海(Shanghai)とシアトル(Seattle)を追加して5Sになります。近い将来、Shizuoka(静岡市)が世界の人々から愛され、住んでみたいという観光都市になり、6S時代が到来するかも知れません。若い力を結集し実現させましょう。

注1:三大学(静岡大学、静岡県立大学、静岡産業大学)が協力をして新しい創造的な大学院を設立することを目的とし、その準備のために連携して調査・研究をする事業のこと。