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公会計改革に関心を!


教授 平光正 (財務管理 地域経済政策 地域公共経営)

 近年、わが国のみならず先進諸国の多くが深刻な財政危機に直面しています。この問題の解決に取り組むためには、まずもって国や県や市などの公的部門が自らの財政状態を適正に示す一覧表を作成し公表する必要があります。このような公的部門の会計のことを公会計といいます。
そのとき、どのような一覧表(モデル)を採用すれば、国や県や市などの担当者がより正確に実態を把握しより的確に将来の計画を立案でき、また一般市民にもわかりやすく説明できるでしょうか?

 そのモデルの最有力候補は、経営学部の諸君ならみな学んでいる、簿記の原理に基づく財務諸表(損益計算書や貸借対照表など)であります。なぜなら、それは長い年月にわたって世界中の企業の業績報告や財務計画に適用され磨かれてきた完成度の高いモデルであり、しかも一部を修正すれば利益を目的としない公的部門の組織でも十分に有用なことが証明されているモデルだからです。そのため、世界のほとんどの国や地方政府で企業会計と同じ考え方(複式簿記・発生主義)による財務書類の作成をめざす公会計制度の改革が進められています。

 しかし、残念ながらわが国ではこれまで使われてきた政府の会計制度のしばりが強く、この改革の動きに大きく立ち遅れていました。ここ数年でようやく国や先進的な自治体で本格的な取り組みが始まりましたが、依然として課題も多く、当局者による財政情報の予算への活用や、一般市民に対する財政情報の提供という観点からはまだまだお粗末な状況です。

 その中で東京都の動きは際立っています。平成19年度から東京都は国内の自治体で初めて、民間企業や海外の自治体で用いられている複式簿記・発生主義の基準をほぼ完全に取り入れた財務諸表を作成公表しました。その動きに今、大阪府等の他自治体が追随し、東京都モデルとして広がりつつあります。

 一方、特筆すべきは地元浜松市の取り組みです。浜松市は行財政改革に熱心な自治体として有名ですが、公会計の分野でも地道な改革を続け、平成22年度には独自の改良モデルを作成、一部公表しました。こちらは身近な行財政情報が財務諸表の形でアウトプット可能なシステム(公表は一部に止まっていますが)であり、東京都のような巨大な自治体でなくても導入が容易であるという特徴があります。
私は実務家出身教員で、政策金融機関に長いこと在職し、産業の育成、地域の開発のための企業への融資を行ってきました。ですから、企業の決算書を読むのが専門ですが、一方で、国や自治体などの政策にも強い関心を持っています。そういうキャリアを生かすべく、今、この公会計の改革に関する研究に取り組んでいます。

 私の授業を聞いている諸君の中から、将来、経営学部出身の(簿記会計が分かる)使命感あふれる公的機関就業者が多数輩出することを期待しています。