開学30周年記念誌

おじさんになっていますが(笑)。 堀川 鷲崎先生のフレンドリーなお人柄がうかがえます。 鷲崎 私の教員としてのモットーは、スポーツ推薦で 入ってきた学生でも、勉強ができない学生でも同じ人間 としてリスペクトし、どうしたら彼らが勉強に興味を持 つようになるかを考え、寄り添うことです。堀川先生の スタートはいかがでしたか? 堀川 専任教授になってからは前期、後期で12科目受 け持ったのですが、私は教員経験がなかったので大変 でした。周りを見る余裕もなくて、最初の2年間は自分 の勉強をすることで精一杯でした。1年目、ゼミに入り たくないというやる気のない学生たちを指導してほしい と事務局から頼まれました。どうやって興味を持たせよ うかと考えた末に、自分の気になる新聞記事を切り抜い て、自分の言葉で解説してみなさいという課題を出した んです。最初は「いったい何なんだ、この先生は?」と 思われていたかもしれません。でも、3か月経ったくら いから新聞を読むのが面白くなったようで授業も活発に なり、みんなが結束してくれるようになりましたね。 大坪 12年間いろいろなことに着手しましたが、特に 力を入れたのは2001年に始めて現在も継続している 「冠講座」ですね。静岡県に必要な人材を大学と地域が 一緒になって育てようという精神のもと、地元企業や行 政から人材と最新のビジネス情報を無報酬で提供しても らいました。寄付講座として、おそらく日本の大学で初 めての試みだと思います。企業、自治体、団体の講座の 中から興味のあるものを選んで、リアルな仕事内容や課 題、最先端の取り組み事例など、現場にいる人だからこ そ語れる貴重な話を聴くことができます。形だけではな くて、全15回2単位の正規講座としてきっちり授業を してもらいます。この講座がきっかけでやりたい仕事を 見つけ、講座提供の企業に就職した学生も多いですよ。 これまでに、ブリヂストン、スズキ、ヤマハ発動機、ジュ ビロ磐田、浜松ホトニクス、静岡銀行、電通東日本、中 部電力など、ビジネスの第一線で活躍する方々から最先 端の実践的な講座を提供してもらいました。 三枝 大坪先生の人脈とはいえ、錚々たる顔ぶれですね。 他にも静岡県、磐田市、藤枝市、藤枝商工会議所、浜松 磐田信用金庫、TOKAIなど、静岡県と関係の深い企業、 団体、行政機関が講座を提供してくれました。これほど 恵まれた寄付講座を毎年開講している大学は全国でも類 ■学長時代はどんなことに力を注がれましたか? サッカースクールを開催していました。それが好評だっ たので、サッカーだけでなく、体操、トランポリン、柔 道についてもキッズスクールをやろうということになり ました。その後、徐々にレベルや年齢層も上がってきて、 現在の「スポーツスクール」につながっています。 大坪 スポーツスクールは、本学のクラブコーチが発達 段階に応じて技術を教え、技能・指導能力に優れた学生 がサポートします。学生にとっては授業で学んだ子ども 教育の知識を現場で実践できるだけでなく、スクール経 営を学ぶ機会にもなっています。 鷲崎 まさに本学が提唱する「実学教育」ですね。私が磐 田キャンパスの経営学部に赴任したときは、夜間の授業 を持たされました。サッカー部のやんちゃな学生が多く て、教室に入ってもワイワイ騒いで完全に無視されまし たよ。誰も私を見ようともしない。そのときに決意した んです。よし、彼らを黙らせてこっちを見たくなるよう な授業をしようと。それが私の教員生活のスタートでし た。そのために彼らと徹底的に仲良くなろうと試みまし た。一方的に私が話すのではなく、学生と同じ目線で一 緒に学ぶスタンスで授業をしたり、サッカーの試合も観 に行ったりしました。厳しく指導する先生もいましたが、 私にはできませんでした。だから学生からは鷲崎先生で はなく「わっしー」と呼ばれていましたよ。彼らとは今で もフェイスブックでつながっています。もうみんないい ■ 三枝 幸文(さえぐさ・ゆきふみ) 1945年 東京都出身 1972年 慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学修士 1994年 静岡産業大学経営学部助教授 1998年 静岡産業大学経営学部教授 2002年 静岡産業大学経営学部学部長 2011年 静岡産業大学副学長 2012年 静岡産業大学3代目学長 2016年 新静岡学園理事長 2024年 新静岡学園経営顧問

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