髙橋 小澤先生のご人徳だと思います。新 しい設備や施設の拡充についてはどう進め たのですか? 小澤 2017年の途中から、私は副学長と して学部開設計画が迅速に進行するよう、 40項目の課題ロードマップを作りました。 カリキュラム遂行のための実験機材は、設 置審の審査をパスするために約3億円分の 機材を揃えることが必要だったので、館先 生と機材選定を進め、スポーツ中の運動分 析を行うGPSや筋肉中の様子を調べる超 音波断層装置など、最新の設備を導入しま した。 髙橋 スポーツ庁が中心となって開設した UNIVAS(大学スポーツ協会)にもいち早 く加盟しましたね。 小澤 ええ。本学のスポーツ活動をより 活性化させるとともに、コンプライアンス の浸透を図るためにガバナンスコードも策 定し、大学におけるスポーツ活動の総合的 な見直しを図りました。開設準備は順風満 帆に思えたのですが、私が2020年に不 慮の事故を起こしてしまい、思うように活 動できなくなりました。そこで、これまで 一緒に協力しながら進めてきた髙橋先生 にバトンタッチすることにしたのです。先 生は文部科学省の大学設置、学校法人審 議会や学習指導要領についても明るく、経 験も豊富なので、私が第一線を退いてか らも開設準備は滞りなく進められていきま した。本当に感謝しています。 髙橋 学部長に就任される予定だった小 澤先生に代わり、2021年の開設から現在 まで私がスポーツ科学部の初代学部長と して尽力してきました。具体的には入学者 の確保、カリキュラムの整備による教育や 研究活動の充実、就職実績の向上、地域 貢献、そして新学部の認知度向上を推進 しました。2024年5月、文部科学省に学 部完成年度の「スポーツ科学部届出設置に 係る設置計画履行状況報告書」を無事提出 することができました。 小澤 教職員のみなさんが一丸となって努 力してきた成果がきっと認められると思い ますよ。この4年間、髙橋先生がリーダー シップを遺憾なく発揮され、さまざまな実 績をあげてこられましたね。 髙橋 ありがとうございます。入学者の確 保ですが、定員120名のところ、2021年 度は109名、22年度は122名、23年度 は155名、24年度は136名でした。 小澤 私立大学の6割が定員割れという厳 しい状況なのに、すばらしい数字ですね。 どんな対策を打ったのですか? 髙橋 入試日程の変更、指定校推薦枠の拡 大、スポーツ推薦入試制度の強化、総合型 選抜入試制度の変更などを行いました。ス ポーツ推薦入試の強化クラブ推薦型ではマ ネージャーも対象とし、トップアスリート型 ではラグビー選手の受験生もいました。ま た、総合型選抜入試も変更し、スポーツプ レゼンテーション入試とアーリーディシジョ ン入試を導入。さらに、社会人選抜入試の 広報や長期履修学生制度も設置しました。 小澤 誰もやらないことを考え、即行動に 移すのは髙橋先生らしいです。学部が開設 してから新たに教育交流協定を結んだ高校 もありましたね。 髙橋 はい。県立静岡西高校、キラリ高校、 オイスカ浜松国際高校、知徳高校、県立浜 松東高校で、着実に入学生の確保につな がっています。さらに、県外の高校に強化 クラブスポーツ推薦入試制度の広報を積極 的に行ったこともあり、今や学生の約4割 強が県外出身者になりました。 小澤 「スポーツ科学部の静岡産業大学」と 呼ばれる日も近いかもしれませんね。教育、 研究活動の推進についてはどうですか? 髙橋 計画的な教員採用を行うことによっ て、2025年度にスタートする4つのプロ グラム(保健体育教員養成、スポーツトレー ナー、健康マネジメント、スポーツチーム マネジメント)を設置し、資格取得を強化 していきます。研究者にとって重要な研究 費については、これまでに科学研究費は 7 名、静岡産業大学特別研究支援経費は10 名の先生が取得しています。学会誘致に ついては、スポーツ科学部になってから、 2023年には日本トレーニング科学会を開 催し、2025年3月には日本スポーツ人類 学会を開催します。さらに、ゼミへの所属 や卒論の執筆を推奨したおかげで、ほとん ど4 年生がゼミに所属し、論文執筆に取り 組んでおり、「大化け」が期待されます。 小澤 好調な就職状況も私の耳に届いてい ますよ。 髙橋 そうなんです。スポーツ科学部初 の卒業生の就職は、7名の教員採用合格者 が出て、とても素晴らしい結果だと盛り上 がっています。ジュビロ磐田や藤枝市役所 に内定した学生もいます。これらは、学部 開設当初より教職員がきめ細やかな就職支 援を行うとともに、鷲崎理事や酒井事務局 長が 2022年から毎月、静岡県西部地区の 主要企業に挨拶回りをしてくださった影響 も大きいと実感しています。 小澤 本学のミッションでもある地域貢献 にも積極的に取り組んでいますね。 髙橋 ええ。「産業振興フェアin 磐田」に は2019年から継続参加し、江間先生と 学生たちの協力で行われた産官学民協働 の「ジュビロ飯」の開発などが軌道に乗っ ています。また、笠井先生を中心に「大学 生等による部活動支援ボランティア事業」 にも毎年参画しています。そのほか、徐 先生らによる「シン・スポーツin いわた」 や中井先生や館先生らによる市民・中高 生・プロスポーツ団体の体力測定も実施 され、伊藤先生と私たちが開催した「静岡 産業大学ダンスの夕べ」(2023年・2024 年)には、大学生、高校生や一般市民等が 約250名出演し、約1,000名の観客が磐田 市民文化会館に詰めかけてくださり、静 岡県へのダンスの普及、情報発信の一翼 を担っていると感じました。 小澤 これだけ精力的に活動していると、 学部の知名度もかなり上がったのではない ですか? 髙橋 学部の知名度は、2022年に東海地 区でベスト5にノミネートされました。新 設のスポーツ科学部ですが、「入学・学び・ 就職」においては目覚しい成果を挙げてき たと自負しています。学部の完成年度を迎 える2024年度末には、小林先生、寒川 先生、小澤先生、和田先生の重鎮が退職さ れますが、残った先生たちと共に新たなる 挑戦を続けてまいります。 小澤 大いに期待しています。本学の理 念にある「小粒だがキラリと光る個性ある 存在になる」学生を1人でも多く静岡県か ら世界へと羽ばたかせてください。 私立大の6割が定員割れの中、志願者 が増えている現状 学部の認知度は東海ベスト5! 今後も新たな挑戦を続けていく 開設からわずか4年で知名度も就職実績も抜群! 飛躍を支える独自プログラムと一流の教授陣
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