開学30周年記念誌

TOPIC 1 経営学部 自分で処理できる本物のビジネスマンで す。就職率が高いのも、プロのビジネスマ ンを育てていくというミッションが企業に 受け入れられている証拠だと思いますよ。 佐野 確かにそうですね。それに関連して 私がいま重点的に取り組んでいるのは「探 究活動の支援」です。世界的な潮流もあっ て、文部科学省も従来の知識中心型の教育 から、自ら考えて創造する力を育てる「探 究」の学びに転換しようとしています。と はいっても、そんなに簡単なことではない ので、地域の小中高校の先生方と連携して 「探究活動」「探究の学び」を学生たちと一 緒に支援し、地方創生に貢献していきたい と思っています。それで、先日、志太・榛 原地区の13校の高校の先生方に本学に集 まっていただき、静岡産業大学と県内公立 高校が連携する「探究コンソーシアムの構 築」というプロジェクトをスタートさせま した。これによって、本学が地域の教育改 革に大きく貢献できるのではないかと考え ています。 佐藤 素晴らしいですね。大学生が行くと 高校生も喜ぶし、身近なお兄さん、お姉さ んから学ぶ方が楽しいですよね。この探究 活動が目指している、市や町と連携しなが ら、高校生と本学の経営学部の学生が協力 して地元の課題を解決しようとするあり方 は、佐野先生の目指す「若者からの地方創 生」ともつながっていきますね。 佐野 もう1つありまして、静岡県が富士 山、駿河湾、伊豆半島、浜名湖、温泉といっ た観光資源に恵まれているのにそれを活か しきれていない現状を踏まえ、経営学部に 観光・文化コースを立ち上げました。磐田の スポーツビジネスコースとともに、それぞれ の地域の産業を活かした形でさらに発展さ せていけるカリキュラムを実践しています。 ■現在、本学に在学している学生にメッ セージをお願いします。 丹羽 もっと大学生活を楽しんでほしいで すね。大学は自分の人生の行方を決める場 所なので、いろいろな経験をしてほしい。 人生でこの4年間ほど時間を自由に使える 機会はありません。だからこそ、もっと楽 しんで自分のやりたいことを見つけてくだ さい。留学やボランティアも大いにやるべ きです。資格取得も大学が全力でサポート するので挑戦してほしいですね。 佐藤 大学は学生が自ら学び、自分自身を 成長させる空間と時間を提供しています。 学生たちは自ら成長するために、この空間 と時間を積極的に活用してほしいと思いま す。講義、ゼミ、サークルや部活動などで 社会とのつながりを持ちながら感動を体験 し、知的好奇心を持ち、人との交流を楽し んでもらいたい。主体性を高め、自分の人 生を自分らしく力強く歩んでいく自信と能 力を身につけてほしいですね。 佐野 現代はなかなか未来を見通すこと が難しい時代です。でもそれは逆に大きな チャンスでもあるので、そのチャンスを活 かしてほしい。そのために大学で仲間とさ まざまな活動をしたり、AIに触れてみたり、 いろいろなことにチャレンジしてください。 それが “ 大化け ” するチャンスになります。 ■今後、静岡産業大学はどうあるべきだと 思いますか? 丹羽 この30年間、本学は地域と産業に 結びついて成長してきました。これほど地 域と密接なつながりを持つ大学は全国でも 稀だと思います。これから先はこれまでの 30年間よりもっと早いスピードで世の中 が変化していくでしょうが、今まで培って きた経験と財産を活かし、今後も地域から 必要とされる大学であり、必要とされるビ ジネスマンを輩出していきたいですね。 佐藤 大学は地域の知の拠点であり、学び の拠点です。象牙の塔ではなくフラットな 知の拠点づくりを目指しましょう。核とな る大学としての教育内容を持ち、それにプ ラスして地域のニーズや時代に即した教育 内容をイベントや講座形式で随時提供して いくことも重要です。学ぶ人たちの対象範 囲も限定せず、老若男女が行き交う大学 があってもいいじゃないですか。大学が開 講するリスキリング講座を大いに活用して いただき、転職やスキルアップに役立てて ほしい。そんな賑わいのあるキャンパスに なってほしいと思います。 佐野 全国の大学には数多くの経営学部が ありますが、埋もれないようにするために は何か特色を出す必要があります。幸いな ことに、本学は県内の私立文系大学で初め て文部科学省の「数理・データサイエンス・ AI教育プログラム認定制度」の認定校とな りました。DX化が進むこれからの時代は 経営学もAI、データサイエンスを活用しな いと太刀打ちできなくなりますから、これ は大きなアドバンテージになるはずです。 時代の変化に柔軟に対応できるカリキュラ ムを整備し、AIやデータサイエンスを加え て、より地域に貢献できる大学、学部とし て発展していくことが理想だと思います。 もっともっと大学生活を楽しんで 自分のやりたいことを見つけよう ■丹羽 由一(にわ・よしかず) 愛知県名古屋市出身。東京大学経済学部卒業。経済学士。 日本開発銀行入行後、ハーバード大学客員研究員、大 蔵省シニアエコノミスト、日本政策投資銀行シンガポー ル主席代表を経て、九州大学大学院経済学研究院教授。 2011年静岡産業大学経営学部教授、2016年経営学部学 部長、2022年副学長に就任。著書に「カイジから経済を 学べ」。趣味は街道ウォーキング。 ■佐藤 和美(さとう・かずみ) 大分県別府市出身。明治大学大学院商学研究科博士後期 課程単位取得満期退学。商学修士。財団法人日本システ ム開発研究所嘱託研究員を経て、鹿児島女子短期大学専 任講師。2002年静岡産業大学経営学部助教授となり、 2007年准教授、2011年教授、2020年〜2021年まで 本学女性初の経営学部学部長を務めた。著書に「アカウン ティング〜企業経営と会計情報〜」他。趣味は絵画制作。

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