開学30周年記念誌

てほしい。磐田キャンパスの周辺にはたくさんの中小企 業がありますが、どこも人材採用に苦労しています。募 集しても応募がほとんどないという状況が続き、本学に もたくさんの求人が来ているんです。地域に人が戻って こないのは日本全体の流れですが、そんな中で本学が果 たすべき役割は大きいと思います。私立大学は産業です から、運営・経営を潤滑に行うことが基本です。その上 で学長を筆頭に、教職員が学生募集をはじめ、目指すべ きことを本気で実践する。そんな強い組織力でブランド 価値を生むような大学になってもらいたいです。 堀川 大学名の通り、静岡の産業に役立つ人材を育てる のが本学です。しかし、静岡の高校生の約半数は県外の 大学に進学し、Uターンしません。静岡が豊かで暮らし やすい地域になっていくためには、若者たちに静岡で働 いてもらわないといけない。そのために社会人になった 人でもUターンして再び学びたい人がいれば、本学で学 べる仕組みを作りたいですね。そんな社会人教育が大事 だと思います。これだけ社会が目まぐるしく変化してい く中で、もう一度学び直したい、今までの経験を活かし つつスキルアップして、違う分野で働いてみたいという 人も多いはずです。せっかく教育の専門家集団がいるの ですから、リスキリングしたい人に本当の学びを提供で きる場になるべきだと思います。 大坪 そうですね。昔は就職するより勉強が好きな人が 大学院に進んでいました。でも、今の社会が必要として いる能力、知識、技術は大学を卒業した程度では心もと ない。もっと勉強しないとスピードについていけず、こ れからの世の中を作っていく人材になれないと思います。 従来の大学院や社会人教育とは違うリカレント教育の場 を提供するべきでしょう。開学して30年が経ち、本学 は全国に誇れる大学に成長したと実感しています。途中、 本法人自体が第3次創業という信念をもって「新静岡学 園」として生まれ変わりましたし、地域貢献というミッショ ンをさらに推し進めるために、これからも社会にもっと 多くのイノベーションを巻き起こしてもらいたいですね。 の原点であることを忘れずに、自分に誇りを持って人生 の道を切り拓いてほしいと思います。 大坪 本学は2006年に「県民大学宣言」をしたように、 静岡県民のためにある大学です。今後も県を良くするた めの人材を育てることを最優先し、一人でも多くの「大 化け」する学生を増やしてほしいですね。教える人も学 ぶ人もハッピーになって社会に貢献してほしい。そのた めには先生がもっと勉強しないとダメ。日本の多くの大学 は先生にハイジャックされています。自分の研究の片手 間に指導している先生が多すぎます。大学の先生は研究 者ではなく、教育者であるべきです。先生がちゃんと教 えないから学生の能力に差がつくんです。学生を大化け させるにはまず先生が変わらないといけないと思います。 三枝 本学の経営スタンスは大坪先生の時代から続いて いる「民間企業と変わらない」ということです。大学も時 代の変化に影響を受け、浮き沈みはあるし、最悪の場合 倒産もあり得ます。そんな危機感をもってこれまで経営 してきましたし、今後も変わることはないでしょう。経 営において大切なのは「スピード」です。教員も職員も自 分が経営者の立場になって考え、経営環境の変化に早く 気づいて、早く意思決定し、早く行動することが肝心で す。少子化の時代にあって、こちらが何も行動を起こさ なければ志願者がますます減っていくのは目に見えてい ます。何かをすれば必ずリスクを伴いますが、しないこ とのリスクもある。この30年間歩んできた中で培った 強みを伸ばすことも必要ではないかと思います。総合的 に伸ばすのではなくて、強みに特化して伸ばしても良い のではないかと。 鷲崎 同感です。地元企業や行政、団体と連携した「冠講座」 や「大化け教育」など、本学にしかできないことを磨くべ きです。それと、本学はもっと地域に貢献する大学であっ ■本学は30周年を迎えましたが、今後どのよう な方向に向かうべきだと思われますか? 1927年 東京都 出身 1955年 慶応義塾大学 大学院経済学研究科修士課程修了 1962年 公認会計士登録 1969年 青山学院大学 経営学部 教授 1979年 税務大学校兼任講師 1984年 自治大学校兼任講師 1987年 慶応義塾大学 商学部 教授 1992年 慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程後期講師 1994年 静岡産業大学学長、同教授(2000年3月まで) 学校法人第二静岡学園理事(2000年3月まで) 2000年 静岡産業大学 名誉学長 2023年 6月5日逝去 静岡産業大学の学長在任中に、藤枝市にあった静岡学園短期大学を改組し、国際情報学部を開設した。 静岡産業大学 初代学長 守永 誠治 (もりなが・せいじ)

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