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水は方円の器に随う-会計を学び合える環境を-


講師 太田 裕貴(財務会計)

 太田ゼミでは、企業が公表する財務諸表(貸借対照表や損益計算書など)から企業経営を分析しています。経営者の経営理念は財務諸表に反映されます。財務諸表には、企業経営に対する経営者の熱い想いが込められていると言っても過言ではありません。では、経営者はなぜそのようなことをするのでしょうか。それは、より多くの人に企業の魅力をわかってほしいからです。
 たとえば、銀行等の債権者あるいは投資家には、資金提供という形で企業を支援してほしい。消費者には、自社の製品を購入することで、企業の収益増加に貢献してほしい。従業員には、自社で働くことを誇りに思ってほしい。就活生には、自社で働くことがいかに魅力的であるかを伝えたい。経営者の様々な想いが財務諸表から読み取れます。このように考えると、財務諸表は経営者とのコミュニケーションの道具の一つと言えます。財務諸表に書かれている内容を理解することは、企業経営を適切に評価するうえで重要なことです。
 Amazonを事例として挙げます。日本でも馴染み深い企業だと思います。意外に思うかもしれませんが、Amazonは売上高に比して、営業利益(本業で稼ぐ利益)が非常に少ない企業です。物流にかかる費用が利益を圧迫していることが理由に挙げられます。これだけで評価すれば、Amazonは決して良い企業とは言えないでしょう。しかし、果たしてそのように断言していいのでしょうか。
 Amazonはなぜ利益が少なくなることを覚悟してでも物流にかかる費用を抑えようとしないのか。それは、Amazonのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)の経営理念「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」に基づき、消費者へのサービスを充実させることを企業経営の重要方針としているからです。事実、Amazonは低額の年会費で「お急ぎ便サービス」「お届け日時指定便」等の充実したサービスを提供しています。物流にかかる費用は増加する一方で、獲得できる収益は少ない。それでも経営理念を遂行したい。まるでそれこそが「企業のあるべき姿」だと訴えているように思えます。このように、経営者の熱い想いを踏まえると、単に利益が少ないという理由だけで「ダメな企業」と切り捨てることはできません。
 私は、ゼミ生にはもちろんですが、本学の学生には、財務諸表から経営者の熱い想いを感じ、それを踏まえたうえで企業経営を分析できるようになってほしいと思っています。単に「儲かっているか?」という視点だけで企業経営を捉えてほしくありません。ましてや根拠のない噂話等で企業経営を評価しないでほしいのです。
 現在、ゼミでは、大手珈琲チェーンである「ドトール」、「コメダ」、および「サンマルク」の成長の要因を分析しています。分析の際には、財務諸表の情報に加えて、学生が実際にお店に行って収集した情報も大いに活用しています。そして、経営者の想いが財務諸表や実際の店舗に如実に反映されていることを学んでほしいと思います。また、これ以外にも、成長企業の要因を探るために、経営者の方へのインタビュー調査を行う機会を設ける等、様々な活動に取り組んでいる最中です。
 このように、本学は、学生同士が会計を学び合ううえで快適な環境を提供しています。「水は方円の器に随う」という言葉があります。水は容器の形によって、四角にも丸にもなります。同様に、人間もまた、環境次第で良くも悪くもなります。
 会計を学び合える素晴らしい環境をより高めていきたい。そして、「会計を勉強するために静岡産業大学に行きたい」と評価して頂きたい。それが、本学における私の使命であると(勝手に)思っています。この素晴らしい環境で、これからも多くの学生と切磋琢磨することができたら望外の喜びです。