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通信3「世界で活躍する日本人」


静岡産業大学 講師 藤田依久子

指揮者の佐渡裕(さど ゆたか)氏が、ドイツの名門オーケストラ、ベルリンフィルハーモニーの本拠地ベルリンでの定期演奏会に、指揮者として招かれることが決定した。このことは、今年のクラッシク音楽会の嬉しいニュースの一つだ。来年5月に3日間、指揮をする予定だそうだ。日本人では小澤征爾氏以来の快挙となる。

佐渡氏は、小学校の卒業文集に、「ベルリンフィルハーモニーの指揮者になる」と書いている。小さい頃からの夢が叶ったかたちだ。オリンピック選手も小学生の頃から、はっきりと「自分の将来の目標は、オリンピックに出場することだ」と明言している人が多い。

ここで心理学的な観点から二つの問題点を指摘してみよう。

一つは、人が何かの目標を達成しようとした時に、目標を明示した方が良いのか、黙っていた方が良いのか、という問題である。
禁煙やダイエットを考えてみると、目標を明示した方が成功しそうだ。自分の目標を周りの人達に明示すると、周りの人が気をつかってくれるかもしれないし、明言した手前、簡単に挫折すると格好が悪いので、本人も頑張るだろう。ただし、明言して失敗してしまうと、自分に対する周りの評価が下がったり、本人が自分に対してネガティブな感情をもってしまうかもしれない。「どうせ自分は何をやってもダメなんだ」と自己に対して否定的評価をすることが多くなると、当初の目標が達成できるかできないか以上のダメージを心に受けてしまうことにもなりかねないので要注意だ。
したがって、明示するかしないかは、明示して失敗した場合に予想されるダメージが、自分にとっての許容範囲内かどうか、を考えることによって決まる。そのため人によっても違うし、内容によっても影響されるだろう。

もう一つの問題点は、達成に困難が予想される目標を成し遂げるためには、その目標をはっきり掲げることが、どの程度目標達成に効果があるのか、という問題である。
大きな目標を達成するためには、そこに至る小さな目標を設定し計画を立てて臨んだ方が、やみくもに行動するより良い、とされている。大学入試や高校入試の際、試験開始と同時に最初の問題から取りかかる人が多いが、どういう問題が出題されているのか、ざっと全体を見てから解く順番の計画を立て、その後問題に取りかかった方が良い、とよく言われる。

最近、ハーバード大学では、中国や韓国からの留学生が増える一方、日本人留学生は減っているようだ。また、大企業に勤める日本の若い人達に、海外勤務を嫌がる人が増えているそうだ。これを「カタツムリ現象」と言う人もいる。最近の日本の若者の内向性を指摘しているのだ。しかし、世界のどんな場所に行っても日本人はいる、とよく言われる。世界の辺境の地と言われる場所で活動している日本人がたくさんいることを忘れてはならない。佐渡氏の今回の快挙を聞いて、一つのことを諦めずに努力する大切さを再認識すると同時に、世界で活躍する多くの日本人に思いを馳せた。