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通信46 大学生の間に相談力を


カウンセリングルーム 杉元 真友実
E-mail:m-sugimoto@ssu.ac.jp
 カウンセリングを担当されていた先生方から引き継ぎ、早いもので4年がたちました。カウンセリングルームで仕事を始めた年に入学した学生の皆さんも、晴れの卒業式を迎えました。まだ子どもらしさの残っていた顔が、社会人の雰囲気の漂う姿に変わっている様子を見て感慨深いものがありました。

 私がカウンセリングをするときに活用しているのは、「交流分析」という心理学です。簡単にご紹介すると、「私たちは幼いころに決めた生き方を、今でも続けている」というものです。アメリカの心理学で、エリック・バーン博士が創始し、いろいろな研究者によって深められ、現在に至っています。日本にも広がるようになったころは医学の領域で活用されていたようですが、私は産業界で活用する団体に属し、今も学習を続きています。

 子どもの頃のことをどれだけ覚えていらっしゃるでしょうか。お父さんやお母さんはどのように接してくれましたか?自分らしさはそのまま受け入れてもらえましたか?実はこの家族の中で生き延びるために、自分はどのようにしたらいいかを考えていたと言われたら、どのように思われますか。

 私は、子どもは育った環境によってその子どもなりの思い込みがあるということを、交流分析を学ぶことで確信しました。思い返してみると、私の父はとても厳しい人でしたので、いつもびくびくしていたことを覚えています。私は長女で年の近い妹がいましたが、時々…いえ事あるごとに父親のように押さえつけていたことを思い出します。母の真似をして、人の世話を焼き過ぎることもありました、時には自分を犠牲にして。中学生くらいになると、自分のしたいことは親を説き伏せてでも行動することやその責任をとるということも学びました。交流分析ですべてに説明がつき、学ぶことによって自分に気づいたり修正したりすることができるようになりましたが、今でも成長途上です。

 大学へは18歳を過ぎてから入学してくるのですが、経験値や考え方は十分成長しているとはいえません。そのため、自分の困ったことや誰かに相談するということがあまりできない、しないように感じます。この4年間に学生は相談に来ましたが、まだまだ人数では少ないように感じます。カウンセリングというと、なにか悪い状態というイメージがあるのでしょうか。それとも、何か困りごとをひとりで抱えていることに気づいていないのでしょうか。やはり幼い子供の延長線にいるのでしょう。

 大学の先生方から知識や人柄から学ぶことは多いものです。その中で私の役割は、高校や中学生、もしかしたら小学校低学年や保育園・幼稚園のとき、無意識に、幼いゆえに表現できなかった言葉や感じそこなった感情を一緒に発見し、手放し、現在の自分の力で解決できるよう支援することなのではないかと考えています。

 自分の気持ちを、自分の言葉で表現する。簡単なことのように感じますが難しいことです。カウンセリングをする中で自分の発したい言葉や今の気持ちを見つけていく、そのような時間をもつことは、大学で学んでいる時が一番適しているのではないでしょうか。

 4年という長いようで短いこの期間に、知力・気力を充実させ、社会に貢献できる人財になってほしいと思います。ご縁があって入学された学生の皆さんの力になれたら幸いです。